デジタル領域のクリエイティブは
"ファストデザイン"であるべき
デジタル領域におけるデザインを考える
DESIGNER 藤井 学

デジタル領域のクリエイティブは"ファストデザイン"であるべき デジタル領域におけるデザインを考える

「カッコイイものをつくりたい!」デザイナーになった多くの人が最初に抱くモチベーションは、きっとそんなところ。
VMLのデザイナー・藤井学もその一人であった。しかし、現在彼の思想は180度変化している。
デジタルエージェンシーの中で、日々デザインのグロースハックを行う藤井が考える「デザインの在り方」とは?

現在、Webデザイナーとして10年のキャリアになるんですよね。働き出した頃と今とでは、Webのトレンドも大きく変わってきたかと思うのですが…

新卒当時は、「カッコイイものを完成させること」が何よりのモチベーションでしたね。20代の頃は、Flashを中心にしたWebデザインをフィールドにして、eye4uや中村勇吾さんのクリエイティブに憧れていました。それからずっとWeb制作会社の中で、デザイナーとしてコツコツと働いていましたね。1つの会社で10年間働いていました。

長く勤めた会社からVMLに移ったキッカケは?

10年間も働き続けられたのは、もちろん環境が良かったからです。でも30代中盤になって、自分の方向性をクリアにして環境を変えたい……という気持ちが出てきて。

そこで自分の中で大きく2つの希望条件を挙げて、次に働く場所を考えてみたんです。

まず1つめは、「グロースハックしやすい環境」であること。
Webの仕事をしていると、公開後のユーザー動向や数値の変化を目の当たりにしますよね。「出来た!」と思って公開しても、ユーザーの反応が良くないときは一目瞭然。そんな時は何かしらのブラッシュアップが必要です。でも、どんなに自分がブラッシュアップしたくてもなかなかリソースが割けないし、プロジェクトは終了していたりするから、もう手が出せない。それってめちゃくちゃ悔しいんですよね。そんなモヤモヤを抱いているデザイナーはきっと多いと思うのですが、自分もその一人でした。

二つめは、「お客さんの顔を見たい」ということ。大規模な組織の中でデザイナーをしていると、抱えるプロジェクトの案件数が増えていくのに比例して、どうしてもお客さんの顔が見れなくなってしまうんです。自分が制作しているものを受け取るお客さんが誰なのか、わからなくなってしまう。

そんな状況を「集中できてラッキー」と感じるか「悲しい」と感じるかは、職人気質のデザイナーなのか、営業気質のデザイナーなのかで意見が分かれるところではありますが…。

藤井さんは営業気質のデザイナー、ということでしょうか?

2つに分けるなら、そうだと思います。クリイティブを突き詰めることも大切ですが、まずはクライアントと向き合いたい。そのためには、自分自身もフロントに立たなければいけない、と思っていたんです。

そんなことを考えながら、転職しようか、いやフリーランスになろうか…と迷っていた時期に、VMLに出会いました。
設立して間もないデジタルエージェンシーは活気に溢れていて、興味が沸きましたね。

ただ、当時のVMLに「デザイナー」という肩書きの人間はゼロ。自分が1人目のデザイナーで、あとはみんな企画・ディレクター職という、これまでとはまったく異なる環境でした。

デザイナーが1人!
そんな環境だと、やりづらくないでしょうか…?

うーん、本音を言えば、主体性がない人にはかなりキツいかもしれないです。みんな専門領域が少しずつ違うので、全員がプロ意識を持って意見をぶつけ合っている。廊下でもすぐにディベートが始まるような(笑)、かなりアグレッシブな環境ではあります。でも不思議と、喧嘩になることはないんですよね。ロジカルな考え方をする大人ばかりなので、しっかり相手を尊重した上で自分の意見を伝えるし、相手の意見が良ければすんなり受け入れています。

そんなアグレッシブな環境で働いてみて、感じたことは?

とにかくスピードが速い! 社内の確認フローが圧倒的に短かったり、そして解析数値を見てすぐにデザインや企画そのものを調整していったり。

職人気質なデザイナーさんだと、このスピードは少し「速すぎる」と感じてしまうかもしれません。でも私自身は、デジタル領域のクリエイティブに関しては「ファストデザイン」であるべきだと思っています。

「ファストデザイン」とは?

クオリティを詰めることに特化するのではなく、スピードを伴って変化していくことです。Web上のデザインって完璧にしてから発表するのではなく、最小範囲で出来るものから実現して、トライアンドエラーを繰り返しながら最適化していける分野だと思うんですよね。

もちろんブランドとしてのクオリティを保つことは絶対条件ですが、それ以上に尖ったものを作る必要性は感じません。お客さんやユーザーにとっての価値は、もっと別のところにあるんです。

「クライアントにとって一番良い成果とは何か?」ということを考えながら企画にコミットしたり、デザインを作ったりしています。

VMLのデザイナーに求められることは?

VMLのデザイナーは、大規模なブランド構築からバナーデザインまで、かなり広い範囲での制作を担当することになります。そして少人数の組織ゆえに、幅広い能力が求められるし、小回りが利くかということも重要ですね。

私自身はこの環境がすごく楽しいし、将来性もあると感じています。

でも少し気になるのですが…かなりお忙しいのでは?

いや、私は21時前後には帰っていますね。リソース管理をするのも自分自身の仕事なので、やり方次第だとは思います(笑)。お酒を飲むのも好きなので、スタッフ同士でも、お客さんともよく飲みに出かけることも多いですよ。

PROFILE

PROFILE

藤井 学

デザイナー

デザイン会社、eCRM支援会社でデザイナー・アートディレクターとして、食品ブランドや外資系化粧品ブランド、製薬会社等、多岐にわたる分野のブランドサイトやECサイト、キャンペーンなどを担当。VML TOKYOではインサイトに基づいたクリエイティブコンテンツのデザイン・ディレクションを担当。